セミセルフレジは、スタッフの負担軽減や業務効率向上などのメリットがある一方で、使い方が分からないお客様が一定数いるというデメリットもあります。
しかし、正しく運用すれば費用対効果は高いです。そこで今回の記事では、セミセルフレジの使い方を詳しく解説した上で、メリットを最大化させるためのポイントも紹介していくので参考にしてください。
セミセルフレジとは?
セミセルフレジとは、セルフレジの運用形態の一つです。会計金額提示後の精算は、お客様自身に自動釣銭機で支払いをしてもらいますが、購入商品のバーコード読み取りはレジスタッフが行います。
セルフレジのもう一つの運用形態であるフルセルフレジと違うのは、購入商品のバーコード読み取りをレジスタッフが行うか、お客様が行うかです。フルセルフレジの場合は、お客様が行うため、会計の最初から最後までレジスタッフは介入しません。
セミセルフレジは会計時間の短縮や釣銭ミスがなくなるなど、さまざまなメリットがあり、近年急速にシェアが高まっています。スーパーで一度は使ったことがあるという方も多いのではないでしょうか。
セミセルフレジの基礎知識についてさらに詳しくは下記の記事をご覧ください。
セミセルフレジの使い方
ここでは、店員・顧客側それぞれのセミセルフレジの使い方をステップ付きで解説していきます。
【店員側】セミセルフレジの使い方
店員側のセミセルフレジの使い方は以下の通りです。
商品バーコードのスキャンはレジスタッフに行ってもらいます。
すべての商品のバーコードをスキャンし終えたら、会計金額をお客様に伝えます。
精算機が複数台ある場合は、お客様が支払いを行う精算機の番号を選択します。
お客様を支払いを行う精算機へ案内します。
店員側のセミセルフレジの使い方は、以下の動画をご覧いただくとより分かりやすいです。
セミセルフレジでの返金の方法は?
セミセルフレジでの返金を行う際は、基本的にはセルフレジの画面上の「返金・返品」ボタンをタッチし、「通常返品・コピー返金」をタッチします。その後、返品・返金希望の商品バーコードをスキャンして、返金金額を確認した上でお客様へ渡すと返金完了です。
お客様から返金を求められた際は、必ず購入時のレシートを確認する必要があります。また、自店舗で購入し、未開封品であることなどを確認した上で返金処理を行うようにしましょう。
各メーカーのセルフレジによって返金方法が若干異なる場合があるので、導入の際に確認しておくようにしましょう。
セミセルフレジで両替を求められたら?
セミセルフレジで両替する際は、まず搭載されている自動釣銭機で【両替】ボタンを押します。その後、両替したい貨幣を投入します。その後、自動釣銭機上(もしくはPOSレジ画面)で両替の細かさを指定するとお金が払い出され両替完了です。スーパーなど客数が多い流通小売店では、セミセルフレジの両替を断る場合も多いです。
その他、精算の際に小銭を多く投入することで、紙幣をお釣りとして受け取ることは可能ですが、これがライフハックテクニックとして一部の顧客に広まっています。硬貨詰まりを引き起こすため、近年セルフレジの導入が進む中で問題となっています。
最近は金融機関での硬貨の預け入れに手数料が発生するようになっているため、このようなことが頻発しており、店舗にとっては頭を悩ませる問題です。硬貨を大量に入れることで、硬貨詰まりなどの機械トラブルが起きる可能性が高くなります。一度セルフレジが停止してしまうと復旧まで時間を要するので、多くのお客様に迷惑をかけてしまう可能性があり、店舗側は対策をとらなければなりません。
レジ付近に逆両替の禁止を促すお知らせを掲示するなどして、抑止するようにしましょう。
【顧客側】セミセルフレジの使い方
顧客側のセミセルフレジの使い方は以下の通りです。
従来のレジと同じように購入する商品をレジまで持っていきます。
ここも従来のレジと同じように購入する商品をレジスタッフへ一度預けます。
預けた商品のバーコードをレジスタッフに読み込んでもらいます。
合計金額が提示されたらレジスタッフに決済を行う精算機へ案内してもらいます。
精算機画面に表示されている支払い方法を選択します。
以下はセブンイレブンのセミセルフレジの例です。
選択した支払方法で合計金額の精算を行います。
最後に領収書・レシートを受け取り完了です。
ミセルフレジでのバーコード決済の使い方は?
精算機に表示されている支払い方法のうち、「バーコード決済(QRコード決済)」を選択します。精算機に搭載されているバーコードスキャナーに、使用するバーコード決済のバーコードをかざせば決済が可能です。
セミセルフレジでギフトカードやクーポンは使える?使い方は?
セルフレジでのギフトカードやクーポンの使用の可否は、セルフレジメーカーや店舗の運用によって異なります。クーポンやギフトカードを使いたい場合は、事前に使用予定の店舗スタッフに確認するようにしましょう。
セミセルフレジで領収書はもらえる?
精算の際に、精算機画面に領収書発行ボタンが表示されるので、タッチすれば領収書を受け取ることが可能です。なお、2023年10月からはインボイス制度開始に伴い、レシートが領収書代わりになりますので覚えておきましょう。
フルセルフレジの使い方は?
フルセルフレジの使い方は下記の通りです。
セミセルフレジと違い、商品のバーコードはお客様が自分で読み取ります
商品バーコードの読み取りが終わったら精算を行うために画面上の「精算」または「会計に進む」ボタンをタッチします。
画面に表示されている現金・クレジットカードなどの支払い方法を選択します。
選択した支払い方法に応じて決済を行います。
領収書・レシートを受け取り会見完了です。
セミセルフレジのメリット
ここからは、セミセルフレジのメリットを以下の5つに絞って解説していきます。
- 会計時間が短くなり待ち時間削減につながる
- スタッフ1人当たりの対応可能な顧客数が増え、人件費削減につながる
- お釣りの間違いがなくなり、顧客信頼度アップ
- 過不足が減り、レジ締め時間が短縮。スタッフ負担も軽減する
- 現金の授受がない
会計時間が短くなり待ち時間削減につながる
一般社団法人キャッシュレス推進協議会の調査では、セミセルフレジの導入によってお客様一人当たりにかかる会計時間を、従来のレジよりも短縮できることがわかっています。以下の表を見て分かるように、従来のレジではお客様一人当たりの会計に68秒かかっていましたが、セミセルフレジの場合は43秒です。
このように、お客様一人当たりの会計時間が短縮されることで、短時間でより多くのお客様の会計を行えるので、必然的にお客様のレジ待ち時間は短くなります。
従来のレジ | セミセルフレジ | |
---|---|---|
お客様一人当たりにかかる会計時間 | 68秒 | 43秒 |
スタッフ1人当たりの対応可能な顧客数が増え、人件費削減につながる
先述したように、セミセルフレジの導入によってお客様一人当たりの会計時間を短縮できるということは、そのぶんレジスタッフ一人当たりが対応できるお客様の数が多くなるということです。どれくらい多くなるかというと、従来のレジの場合は1時間当たり約53人だったのが、セミセルフレジだと84人も対応できるようになります。
そのため、少ない人数で多くのお客様に対応できるので、人件費削減効果が期待できるでしょう。
従来のレジ | セミセルフレジ | |
---|---|---|
スタッフ一人当たりが 対応できるお客様の数 | 53人/時 | 84人/時 |
お釣りの間違いがなくなり、顧客信頼度アップ
セミセルフレジでは、自動釣銭機でお釣りが正確に自動掲載されます。そのため、釣銭ミスがなくなり、顧客の信頼度がアップするでしょう。また、釣銭ミスが起きないようにするレジスタッフの心理的負担も軽減可能です。
過不足が減り、レジ締め時間が短縮。スタッフ負担も軽減する
セミセルフレジではお釣りが自動計算されるので、従来のレジより過不足を減らすことができます。また、自動釣銭機のディスプレイに釣銭残高が表示されるため、レジ締め時間を大幅に短縮可能です。正確かつ迅速にレジ締めを行えるので、レジスタッフの負担も軽減できます。
現金の授受がないので衛生的
セミセルフレジでは自動釣銭機で現金の投入を行い、お釣りも自動釣銭機から排出されたものを受け取るので、直接の現金授受がありません。そのため、衛生的な会計が可能です。新型コロナウイルス感染拡大の影響で衛生面を気にするお客様は多いので、セミセルフレジによって衛生面の向上を図れます。
セミセルフレジのメリットについて詳しくは下記の記事をご覧ください。
セミセルフレジのデメリットと対策
ここでは、セミセルフのデメリットを挙げた上で、そのデメリットの対策を解説していきます。
セミセルフレジのデメリットは、主に以下の3点です。
- 導入コストが高い
- 設置スペースが必要
- 新たな業務フローになれる必要がある
導入コストが高い
セミセルフレジの導入コスト相場は小型のものでも100万~150万円です。スーパーなどで導入されている大型タイプのセミセルフレジは300万~450万円ほどのコストが発生します。非常に高額なので、導入ハードルが高いです。
対策
できるだけ低価格な製品を選ぶことで、導入コストを抑えられます。少し予算オーバーしている場合は、補助金を活用することでコストの一部を補助してもらうことが可能です。また、リースであれば月々2万~3万円程度でセミセルフレジを導入できます。
▶セミセルフレジの価格比較、安い製品の紹介について詳しくは下記の記事をご覧ください。
▶セミセルフレジのリースについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
設置スペースが必要
セミセルフレジを導入する際は自動釣銭機が必要になりますが、通常のレジよりサイズが大きいためそれなりの設置スペースが必要です。また、スーパーなどで多くの導入されている大型のセミセルフレジだとさらに広いスペースが必要になるので、事前にセミセルフレジのサイズと設置スペースを確認しておくようにしましょう。
通常のレジとセミセルフレジのサイズの差は以下を参考にしてください。
通常のPOSレジ | 小型セミセルフレジ | 大型セミセルフレジ | |
---|---|---|---|
製品例 | 東芝テック プリンター一体型POSターミナル QT-200 12.1型】 | グローリー300のセミセルフレジ運用 | 東芝テック 分担制チェックアウトシステムSemiSelf(セミセルフ) |
サイズ | 295(W)× 280(D)× 380~389(H)mm | 480(W)× 540(D)×130(H)mm | 690(W)×690(D)×2,032(H)mm(パトランプ含む)〈 ※本体 360(W)mm〉 |
対策
設置スペースが限られている場合は、できるだけ小型のセミセルフレジを導入するようにしましょう。たとえば、自動釣銭機のPayCubeは非常にコンパクトで、人気POSレジのスマレジと連携できるのでiPadとPayCubeでセミセルフレジとして運用可能です。また、価格も安くPaycube自体は534,050円で、iPadやレシートプリンターなどの周辺機器を含めても約90万円で導入できます。
Paycubeのサイズは以下の通りです。
キュービックタイプ
W385xD345xH430(mm) ※突出部含まず
L型タイプ
W530xD345xH430(mm) ※突出部含まず
新たな業務フローに慣れる必要がある
セミセルフレジは通常のレジと運用が異なるため、新しい会計手順に慣れる必要があります。そのため、レジスタッフの教育が必要で、その時間を確保しなければなりません。また、セミセルフレジの使い方が分からないお客様やトラブル時の対応についても教育が必要です。
対策
セミセルフレジの操作方法・トラブル時の対応や復旧方法・使い方が分からないお客様への対応、それぞれのマニュアル作成を作成することで、スムーズな対応ができるようになります。また、マニュアルを作成した上で、丁寧な教育を行うことでスタッフの認識を深めることが可能です。
セミセルフレジの使い方がわからないお客様を減らす方法
セミセルフレジの使い方が分からないお客様を減らすためには、以下のような対策をとるといいでしょう。
- フォロースタッフを配置する
- 常連の高齢客向けに操作説明会を開催する
- 画面案内がわかりやすいセミセルフレジを選ぶ
フォロースタッフを配置する
セミセルフレジの使い方が分からないお客様がいた際、すぐに対応できるようにレジ付近にフォロースタッフを配置しておくといいでしょう。すべてのレジに1人ずつ配置する必要はなく、6台に1人が目安となります。
常連の高齢客向けに操作説明会を開催する
常連の高齢者向けにセミセルフレジ操作説明会を開催するのも有効な手段です。実際に取り組んでいるスーパーもあり、1人ずつではなく複数人を対象に説明できるので、効率的に操作方法を伝えることができます。
画面案内がわかりやすいセミセルフレジを選ぶ
セミセルフレジは操作性が重要です。画面に表示される案内は見やすくてわかりやすい必要があります。導入する際は、実際の操作画面を見て自分でも使用してみるといいでしょう。文字が小さかったり、操作が複雑だったりすると高齢者の方が困ってしまうので、このあたりはしっかりと配慮する必要があります。
セミセルフレジレジのトラブル対策と使い方のポイント
ここでは、セミセルフレジのトラブル対策と使い方のポイントを解説していきます。
未払い対策に防犯カメラ設置
セミセルフレジは、お客様が自分で精算機を使用して支払いを行うため、払い忘れや故意に支払いをしない人が一定数います。そのため、防犯カメラを設置し、レジ付近に防犯カメラ設置を示すシールを貼り、未払いを防止する対策をとるようにしましょう。
セミセルフレジに搭載している自動釣銭機のトラブル対策
セミセルフレジに搭載されている自動釣銭機は、硬貨詰まりなどのエラーが発生することも少なくありません。そのため、エラー発生時に備えて復旧方法のマニュアルを作成し、スタッフへ教育を行う必要があります。復旧に時間がかかってしまうと、店舗側の損失になる可能性があるだけではなく、お客様に迷惑がかかってしまうので注意しましょう。
自動釣銭機のトラブル対策について詳しくは下記の記事をご覧ください。
導線をわかりやすくして他のお客様の会計を払ってしまうトラブルを防ぐ
会計時のセミセルフレジの導線によっては、あるお客様が別のお客様の会計金額を支払ってしまう可能性があります。そうなると、返金処理などで長時間レジを止めなければならなくなるため、注意が必要です。
特に、スーパーなどで多くの導入されている分離型のセミセルフレジの場合は、1台のレジに対して2台の精算機を使用することがあるので、精算時にレジスタッフが確実にお客様が支払いを行う精算機に案内しなければなりません。
セミセルフレジのよくあるトラブルや対策についてさらに詳しくは下記の記事をご覧ください。
セミセルフレジのメリットを最大化するためには製品選びが大切
セミセルフレジの使い方がわからないという方が多いと、人件費削減効果などのメリットが最大化しません。そのため、お客様が使いやすい製品という観点で製品を選ぶことが大切です。
お客様が使いやすい製品のチェックポイントとして、以下のような要素を見るようにしましょう。
- 搭載している自動釣銭機の入出金部にLEDライトがついている
- 搭載している自動釣銭機の入出金部が広くお札がや硬貨が入れやすい
- お客様の操作画面が大きくて見やすい
- 音声案内がついている
- タッチパネルで直感的に操作できる
以下の記事でおすすめのセミセルフレジを解説しているので是非チェックしてみてください。
その他、セミセルフレジの使い方に関するよくある質問
ここでは、セミセルフレジの使い方に関するよくある質問に回答していきます。
セミセルフレジのレシート交換方法を教えてください。
レシート交換の方法は各メーカーのセミセルフレジによって異なるので、導入の際に担当者に確認するようにしましょう。その上で、マニュアルを作成してレジスタッフに教育するといいです。
セミセルフレジのレジ締めの流れを教えてください。
セミセルフレジのレジ締めは、基本的に以下の流れで行います。
- 前日のレジ締め時にレジに残っていた金額を確認する
- 1日の合計売上金額を計算する
- レジ内の現金額をセミセルフレジのディスプレイで確認する
- 売上金額とレジ残高が一致しているか確認する。
- 現金回収と釣銭補充を行う。
まとめ
セミセルフレジは、会計スピード向上やレジスタッフの負担軽減など、さまざまなメリットがあります。しかし、高齢者などは使い方がわからないという方が多く、サポートに時間を要することもあるので、そのあたりも考慮しなければなりません。
今回の記事の内容を参考に、セミセルフレジの使い方をしっかりと把握し、導入を検討してみてください。